夏の終わり

飛びたかった。飛びたかったなあ。

終わったあと、イギリス人のインタビューとかボートとか色々あって、みんなが待っていた。俺はまだそのときは状況を把握しきれてなくて、みんな泣いていたのがああ、と思った。こんな結果で申し訳ないと後輩に思い、みんなで作った機体はこんなもんじゃないぞと言いたかった。ついでに俺の脚も。

風は良かったし、プラットフォーム上でも緊張はそれほどでもなかったし、トレーニングも積んできたし、みんなが緊張してるなーと思ってむしろそれを緩めようとか思ってた。そんな状況だっただけに折れても信じられなくて落ちる瞬間までペダルを回してた気がする。何か折れてもそれを俺の脚でカバーしようとか少し思ってた。そんなことできないのに。

一年生の頑張りのおかげで表彰式に行って、それから琵琶湖に落ちたり落としたりした。さらにOB・OGが用意してくれたビールかけとかやった。それはそれでその瞬間はめっちゃ楽しかった。そして部屋に戻り、すっかり酒臭くなってしまったジャージを脱いでシャワーを浴びた。そして泣いた。

悔しい気持ちは時間が経ってしまうと薄れてしまうものかと思っていたけれど、今のところどんどん増幅してる気がする。誰かと話していたり、何かやらなければならないことがあるときはそのときだけ忘れていられるけど、一人になるとこれだけ考えてる。違う未来があったんじゃないかって。一人でいるのが辛いなあ。

できることなら過去に戻りたいななんて考えていた。それも、去年の今日に。俺らの代になった日に。CTに入る気持ちも分かるとかk山さんが言っていたけど、俺はみんなの作った機体で飛びたいなと今更ながらに思う。過去には絶対帰れないし、もう23代と24代で機体を作ることはないし、俺がパイロットをやることもないし、何より格納庫にはもう行けない。みんなで作った機体で飛ぶことは二度とない。それが悲しい。

一年前に戻れたら、なんてそれは夢だけど、禁酒してもご飯ちょっとしか食べられなくてもトレーニング辛くても作業きつくても、やっていけそうな気が今はしてる。でも戻るなんてことはできない。俺の一生に一回の22歳の夏は終わった。もう一回やろうかっていってもしやったとしても、それは何か違う。

この一年間でやれなかったこと、心残りは死ぬほどある。多分それは誰でも多少はあるんだろうけど、俺は自分に甘くて、できなかったこと、達成できなかったこと、口だけになってしまったことが山ほどある。もう返れない去年の夏に返って自分にいってやりたいなあ。でもそんなことはできない。

しんぺーには頑張ってほしい。俺より絶対いいとこまで行ける。そして24代は俺らより絶対いいチームになれる。それは望んでるし、信じてる。俺らの代で24代にはめっちゃ苦労をかけた。最後の最後まで、そしてこれからもそれはあるかもしれない。申し訳ない。でも頑張ってほしい。それだけ思う。

鳥コンが終わったら英語の勉強するんだとか考えていた。俺はいろんなことに興味があるし、パイロットじゃなくなったってやることなんてあると思ってた。でもなんか今はやるべきことが思いつかないな。もうエアロバイクをこがないのが考えられない。失って初めて分かるなこういうことは。やばいまた泣いてしまった。

ああ悔しいよ。でもこれが俺の人生なのかな。悔しいなあ。

翼。

コメント