2日目:彦根→京都

部屋で目覚めたら思ったよりいい目覚めだった。たいてい飲み過ぎた日の次の日はひどくなるのになと思った。荷物を整理し、渡すべきものをうるに託し、下に行ってカップ麺を食った。少しずつみんなが東京へ帰っていくこの時間はなんとなく毎年好きだった。俺は結局最後まで残り、企画車や機材車を見送った。

自転車に乗り、黒い変な鞄を背負い、照りつける太陽の下、少しの距離を走って琵琶湖へ。落ちたCTが片付けているのが見え、プラットフォーム上はラストの東工大だった。風待ちか、なかなか飛ばないので橋のところまで戻り、CCレモンを飲んでいたら飛び始めた。しかしだいぶ落ちて、少し上向いたかと思ったらまた高度が落ちた。その後はなんとか飛んでいたけれど、どう考えても風が強くなってから飛んだよなあと思った。

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CTとプラットフォーム上の東工大。

それから琵琶湖に沿って南下。暑さと多少の二日酔いで気持ち悪くなってきたけれど、休憩しつつ進む。こういうような荷物を背中に背負っての自転車で一番の難点は、腰や尻を痛めることなので、そうならないようにフォームに気を配る。途中、右側が山で左側が田園というところで追い風が激しくなり、余裕で50km/h弱で巡航できるようになった。まるでプロだ。

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琵琶湖畔の田んぼ。

そんなことを思っていたら雨が降り出した。空が明るいので通り雨かと思いきや、じゃんじゃん降ってきたので琵琶湖に注ぐ、小さな用水の水門の陰で雨宿りをした。もう一人、同じところで雨宿りしている人がいたが、男か女かの区別もつかなかった。30-40分雨宿りしていたけれど止む気配がないので飛び出した。雨の中へ。

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雨宿りした水門。

飛び出て、雨が止むかなと思いきや全くそんなことはなかった。むしろどんどん強くなり、雷と突風も加わるようになった。道の脇にある電光掲示板はみるみる温度を下げていく。33度だったのが24度まで下がった。そのうち雷は、なにかが稲光と同時になにかが割れるような音がするようになった。つまり音と光の速度差を感じないほど近いということだ。

道路は排水能力を超えた雨水が常に5cmほどたまっていたので、水上レースのようだった。マリオカートみたいな。雨は本物のシャワーのような勢いで降り、視界は5秒でなくなる。そのたびに顔を手でぬぐった。琵琶湖側から吹き付ける風は非常に強く、防風林がない橋では左右の調整ができず、川に落ちるか車に当たるかを選ぶような状態になった。雷は横の変電所に落ちるのが見え、聞こえた。世界が割れたかのような音だ。

こんな嵐の中を走る経験はこれからの人生でもあまりないだろうと思い、そういう意味では非日常で楽しかった。表面的に起こっていることは全て辛かったけれど。1時間くらい雨の中を走ったらコンビニを見つけ、店の前で服を絞った。地図を確認して、琵琶湖大橋へ。

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琵琶湖大橋。

琵琶湖大橋を渡るときにはなぜか先ほどの嵐が嘘のように晴れ渡り、琵琶湖が見渡せた。数年前の機体はここを飛んだのかということをまず思った。湖面には何か養殖の網のようなものが見えた。渡りきってから、また南下する。途中で比叡山こっちという看板を見つけて行ってみた。山なのでヒルクライムだ。

しかし登り切ってみるとそこには「比叡山ドライブウェイ」の看板と料金所が見えた。自転車はお呼びでない雰囲気だった。料金所のおじさんと話した。京都に行きたいんですと言うと、関西弁で道を教えてくれた。訛りが違う日本語で喋るのが楽しかった。そしてここは関西なんだなと改めて感じた。

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俺に良く吠えた利口な犬。

道を下り、国道へ出た。ひたすら進み、今度は本格的に比叡山を通って京都へ向かう道、山中越を発見した。どんどん上る。しかし荷物を持ってのヒルクライムは辛い。比叡山延暦寺といえば信長に燃やされたイメージだった。しかしこの山道はラブホと採石場が主な建物だった。荷物と俺の腐った脚では、ややきつめの勾配の比叡山は辛かった。

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比叡山から琵琶湖方面を見たところ。

なんとかのぼり終わったものの、感動的な風景とか、峠を示す看板のたぐいはなかったのですぐ降りる。下りは基本的に車より速いので先に行っている車に追いつく。ということで最高スピードを出せたのは少しの区間だけだった。しばらく下ると、街に出た。通りの名前に特徴がある。京都に到着した。

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京都で待ち合わせ。

東大路通でみにぱんさにメールしてみる。その後電話した。行くべき方向が見つかったので適当に進む。それらしき場所についてまた連絡を取り、出会った。東京じゃない場所で会うと変な感じだ。家にお邪魔し、ずぶ濡れになって中途半端に乾いた体をシャワーで流した。経緯を話したりした。部屋はかっこよかった。

夜はラーメンを食べに外に行ったらまた雨が降った。麺の感じが好きなラーメンを食べ終わり、日本酒にゆず果汁を混ぜた酒とナタデココとかを買って帰る。また最近のこと、将来のこと、本の話などをした。TEZに電話かけたりしていたら眠くなってきた。空気でふくらませるベッドを貸してもらい、このベッド研究室用に買おうと決心しつつ寝た。

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