4日目:沼津→東京(7月29日)

真夜中の沼津を、背中に着替えや補給などを入れた、山には重すぎる荷物を背負いながら、出発した。まずは三島を目指す。三島といえば、水域で有名な、新幹線もとまる駅。いつか行って、富士山のわき水からなる水系を見てみたいと思っていた。でも今は夜、それはあきらめる。

とりあえずそれらしき方向に進んでみたものの、変な工場に出た。コンビニに入って地図を見たら、とんでもない方向に走っていたので方向を修正し、1号線へ。暗くてよくわからないけど、いつの間にか登りになっていた。街灯がなくなってしまうと走れないので、途中でなくなったらあきらめようと思っていた。

しばらく登り基調の道を、たまに来る大型トラックをよけながら上っていると、「箱根15km」という看板が現れた。そこからはひたすら比較的ゆるやかな登り。街灯がなくなる区間になると、道路の白線がぼやっと見える程度で他は何も見えない。音は虫の鳴く声だけ。夜の山はほんとに静かだと感じる。

箱根、上っていたらさっきまでの電車で眠かったのが吹っ飛び、楽しくなってきた。たまに大型トラックにひかれそうになりながら(それでも音がそれしかないので1km前くらいから車が来るのが分かる)、よく見えない道を進む。それでも大きな道なので、300mに一つくらいは明かりがあった。夜だし寝てないので慎重にゆっくり。

最初の15kmから、サイコンを見て数えていたら、どうやら箱根エコパークというところがその地点のようだった。ということでなんとかそこまで登り終えて、休憩する。時計を見るとその時点で午前3時。駐車場にはトラックが沢山いた。トラックの運ちゃんと会話した。

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箱根エコパーク。看板がしょぼい。

ト「さっき上ってたの見たよー!」

俺「え?途中でですか?」

ト「そうそう。若いねー」

俺「いやもうそんなに若くないんですけどねー」

とか言ってた。そこには仮眠をとっている自転車旅行者がいた。小径車の後ろにキャリアみたいのがついたやつだ。よくあれで上ってきたなあと思った。話かけようかと思ったけれど、結構本格的に寝ていたのでやめた。

これから下りだろうと思い、すでに寒かったので長袖のシャツを着る。そして出発した。しばらくは下りで、湖とか観光地らしきものが見えたりしていたが、途中からまた登りになった。なんてこった・・と思いながらまたしばらく上る。思ったより長いなーと思っていたら、最高地点がやってきた。例の「国道1号線最高地点」の看板を見つけた。

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かすかに看板が見える。最高地点。

もうこの時間では車はほとんど通らなくなっていた。多分4時くらい。そこからはひたすら下りだった。まだ真っ暗なので、カーブを見失うと50-60km/hのまま箱根の谷へ真っ逆さまだ。と思って「俺は死なない!」とか叫びながら下った。下りながらいろいろなことを思い出して、思ったことを全部叫んだ。そうでもしてないと暗いし眠いしで結構危険だなと思っていたのもあった。

自転車は夜道をそろそろと下る自動車より速い。なんかのトラックにおいついたので、そこからはそのトラックと同じ速度で下った。段々空が明るくなってきて、そして眠くなってきた。そして見慣れた「箱根湯本」の駅が左手に見えた。そこから小田原へ。明るかったが朝早すぎて誰もいなかった。

さらに早朝の道をひたすら走り、平塚あたりのマックで朝ご飯を食べる。朝だけど朝マックの時間ではないので普通。そこでも少し寝たいのを我慢してまた出発。ここらへんの道は何回か通ったことがあるので多少分かるようになってきた。朝の犬の散歩とかしてる海岸沿いの道を、一人眠たい俺は走っていた。

茅ヶ崎まできたら砂浜で寝ようと思いたった。134号にうつり、適当なところで海へ。サイクリングロードは朝早いにも関わらず多くの人が歩いていた。自転車を砂浜の手前の柵に止め、バインディングの靴を脱いで裸足になり、波がかからないくらいのところまで歩いていって、横になった。

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茅ヶ崎の海。

まだ朝6時くらい。暑くなくて気持ちいい海だった。走っているときは気づかないけれど、寝転がると眠さと疲れが襲ってくる。30分くらい、砂にまみれて仮眠した。ふと気づくと、犬を連れた男女が近くで、ものを海に投げて犬に取ってこさせるのをやっていた。犬は波を怖がらないのだが、毎回タイミング悪く海に向かうので波をもろにかぶって後退する。そんな繰り返しで、犬ももうちょっとタイミング考えて出たらいいのになとか思っていた。

そろそろ行かなくては、と思って茅ヶ崎の砂浜を後にした。辻堂のコンビニでガリガリ君を買って、地図を見た。同心円状に考えて、今すんでいる家よりも実家に帰るほうが近かったのでそこを目指すことにした。どちらも東京だし多分距離はさほど変わらないのだけれど。ということで藤沢まで走る。

藤沢で横に曲がり、湘南台、大和市方面へ。途中までは良かったけれど、大和市のあたりから朦朧としてきた。なんでこんなに疲れてるんだろうと思ったら、単に眠いだけだった。暑くなってきたので長袖のシャツを脱ごうと思ったら落車した。ヒザから血が出ていたけれど洗い流してまた走った。

246に入ったあたりからさらに気分が悪くなってきた。246の神奈川県エリアというのはとにかくアップダウンが多く、さらに朝の涼しさもなくなってしまったこの時間帯は辛い。10時を過ぎるとすでに10時間走っていることになり、体力・眠気が限界だった。パリ-ブレスト-パリを走る人とか凄いなとこのとき思った。

フラフラして道ではママチャリに抜かれる始末だったが、なんとか川を渡り東京へ。そして実家へ。母親と弟がいた。風呂に入って汗を流して、着替えたら、弟のベッドでいつの間にか寝てしまった。

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