2020年めっちゃ面白かった本7選

日紀

去年(2020年)はあまり本を読まなかった1年だった。理由は明白で、車に乗る時間がコロナによってグンと減ったから。アメリカに住んでいて車移動が多い生活のときはオーディオブックで本を読んでいたのだけれど、コロナで在宅勤務になり、その後会社がつぶれて日本に帰国したので車移動はさらに減った。直接的な原因はそれ。

そんな中でも数十冊本を読んだので、紹介する。めちゃくちゃ本を読んだ2019年に比べると選球眼がだいぶ甘くはなってしまった。

車に乗る機会がなくても、1日15分でも読書の時間を作りたい。携帯を放り投げて本を読むのがよい。

人類と気候の十万年史 中川毅

これはめちゃくちゃ面白い本だった。地球は果たして温暖化しているのか?という一見入りやすいテーマから、数千万年スケール、数万年スケールごとにどのようにいままで気候変動が起こってきたか、これからどうなるのかを考える本。水月湖(福井県の湖)の底に降り積もった地層から、過去数万年の間地球の気候がどう変わってきたのかがわかる。めちゃくちゃおすすめ。

二つの祖国 山崎豊子

これは面白い本だった。日本とアメリカという二つの祖国の間に生まれ、時代に揉まれて精神を病んでいく様子が鮮やかに描かれる。アメリカでの日系人収容所生活、日本語教師生活、アメリカ軍での軍役、東京裁判と次々と移り変わる舞台を懸命に悩みながら生きる様にリアリティがある。特にアメリカに住む日本人にはささるんじゃないだろうか。自分には刺さった。

一九八四年 ジョージ・オーウェル

これもすごく面白かったが、読むのがすごくつらい話だった。監視社会と、黒を白と言わなければならなかったり白を黒と言わなければならなかったりするのがものすごくつらい。人間関係がすべて壊れていく様を見るのもつらい。これを読むと現実世界で起きていることでこの小説をまた思い出すようになる。

動物農場 ジョージ・オーウェル

1984と同じくジョージ・オーウェルの小説だが、こちらのほうが動物たちの世界を描いているせいか、とても読みやすい。動物たちが人間の支配から脱して皆が平等な農場という理想郷ができたかと思いきや、ブタが結果的に独裁者となり、恐怖政治と貧しい農場が実現される。非常に読みやすい話でありながら、ロシア革命を強烈に批判しており、また共産主義の顛末を鮮やかに描き出していた。同時に、ブタだけが悪いわけではなく、愚鈍な動物自身もその体制作りに加担しているのだということを明らかにしている。共産主義がどのような末路をたどるのかに興味がある人にはめちゃくちゃおすすめ。

アメリカで育つ日本の子どもたち 佐藤郡衛・片岡裕子

めちゃくちゃ面白かった。「アメリカに住んだら子どもはすぐに英語ペラペラでしょ?うらやましー」というよくある誤解を完全に破壊してくれる本。学術レベルのバイリンガルについての話が出てきて興味深い。日本から来た当初は日本語優位でも、そのうち日本語が消えていき、自分の気持ちが英語じゃないとうまく伝えられなくなる。日本語も英語もどちらも満足にできないと言うパターンもある。恐ろしい。補習校の話も面白い。

ヒトラーとドラッグ:第三帝国における薬物依存 ノーマン・オーラー

この本もめちゃくちゃ面白い。去年は気になって東部戦線(第二次世界大戦最大の激戦地)の話を調べたりしていたが、この本はドイツにおけるメタンフェタミンなどの覚醒剤利用について丹念に調べて書いた本。実はまだ半分くらいしか読んでいないので、電撃戦(フランス侵攻)の部分しか読んでないのだがすさまじい。世界史上例のない、ものすごいスピードでのフランス侵攻は、覚醒剤を飲んでドーピングしたことにより三日三晩寝ずに運転できたたまものだった。

主任設計者が明かすF-2戦闘機開発 神田國一

そこそこ面白かった。設計方針や不具合への対処など、知らないことがたくさんあった点がよかった。不思議に思っていた水平尾翼の切り欠きの話も出てきた。ただ、秘密事項はいろいろ書けないのか、あまり具体的に踏み込まれていない箇所が多かった。そうはいってもこの類の本は珍しく、買ってよかったと思う。

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