Radiosondeの観測結果を書き込むダイアグラムとして、アメリカではSkew-Tが主に使われていた。一方で、エマグラムは見たことがなかった。一方で、日本で気象の教科書を開いてみると、猫も杓子もエマグラムを使っている(ただし気象庁のWebsiteではエマグラムは公開されておらず有料である)。一方で気象は素人なので常識がよくわかっていない。
アメリカでSkew-Tが使われている理由がわからなかったので、調べた。下記の資料に若干書いてあった。
これによると、Radiosondeの観測結果を描くダイアグラムとしては主に4つがある。
- Emagram
- Tephigram
- Stueve Diagram
- Skew T, Log P Diagram
この4つの中でSkew-T, Log P Diagram (以下Skew-Tと略す)を使う動機は次のとおり。
- 重要な等値線を曲線ではなく直線で表したい
- 断熱線と等温線がなす角は、安定性を判断するのに適切なレベルまで大きくしたい
- ダイアグラム上の面積と熱力学エネルギの比率を、ダイアグラム上でどこでも一定としたい
- 成層圏での観測結果も描けるようにしたい
- 大気の鉛直方向はダイアグラム上のy軸としたい
これらをすべて満たすダイアグラムは、Tephigram(Skewedバージョン)もしくはSkew-Tのみ。ただし、Skew-Tは等圧線が直線であるので、Skew-Tのほうが好ましい(高度と圧力の換算がしやすいため)。Emagramは上記の動機をかなり満たしているが、2つ目の条件である断熱線と等温線のなす角度が小さいのが曲者とのこと。
たしかに断熱線(乾燥断熱線とか湿潤断熱線)と等温線のなす角は、等温線を右に45度程度回転させているので、大きくなりそうな感じがする。そのかわりに逆転層があるかどうかはエマグラムより若干見にくい感じもする。
ここまで書いてきたけれど、今日調べていたらUW (University of Washington)がエマグラムを提供しているのを見かけた。やっぱりエマグラムも多少は使われるのかも。一方で、日本でなぜSkew-Tではなくエマグラムがもっぱら使われるのかは謎だ。誰か知ってたら教えてください。
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