メニエール病非定型例(蝸牛型)に何が効くか実践中

日紀

ここ5年くらい、たまに朝起きると片耳が聞こえなくなることがある。完全に聞こえないというわけではないが、例えばプールに入ったあとに水がつまってとれていないような、耳鳴りがするような感じで聞こえる側の耳に比べて半分くらいしか聞こえない感じだ。そのたびに耳鼻科に行って、聴力検査をして、薬をもらって飲んでいた。飲む薬は下記の3種。

  • イソソルビド内用液
  • アデホスコーワ顆粒
  • メチコバール錠

これらを1週間くらい飲み続けるとだいたい聴力は戻ってくる。それを数か月に1回繰り返していた。ただし、アメリカに引っ越してきてからは耳鼻科に行くのが容易ではなく(会社が保険を買ってくれないこと、専門医の診断をすぐ受けられる仕組みでは必ずしもないことより)、かつ耳鼻科にいっても日本と薬が違い、上記の薬は処方してもらえないこと(イソソルビドは狭心症の薬だから出しませんと言われる)などから自分で何とかしないといけないなと思い始めた。

メニエール病非定型(蝸牛型)とは

さて、メニエール病非定型(蝸牛型)は、めまいが起こらないタイプのメニエール病だと言われている[1]。どうも、いまの判断基準によると3タイプあるらしい。

  • メニエール病
  • メニエール病非定型例(蝸牛型)
  • メニエール病非定型例(前庭型)

パッと見た感じ、メニエール病はめまい+難聴、蝸牛型はめまいがないが難聴、前庭型はめまいはあるが難聴はないという感じのようだ。蝸牛型と前庭型はメニエール病に発展することもよくあるらしい。このうち、自分の症状は蝸牛型である。めまいはないが、数か月に1回くらいの割合で片耳がふさがったような感じになる。たぶんすでに10回くらいは繰り返している。繰り返さない難聴は、突発性難聴や急性低音障害型感音難聴とからしい。

難聴にしろ、めまいにしろだんだん悪くなると困るので、何か対策はないかなと思い立った。耳が聞こえなくなると結構人生大変そうだし、メニエール病に発展して常にめまいが起きていたら仕事も好きなこともできず、ちょっと厳しい人生になりそうだ。

対策の調査

メルクマニュアルを読むと、塩分、アルコール、カフェインの制限を行えと書いてある。下記のとおりである。

減塩食を守る、アルコールとカフェインの回避、利尿薬(ヒドロクロロチアジドやアセタゾラミドなど、尿の排泄量を増やす薬)の服用によって、大半のメニエール病患者で回転性めまい発作の頻度を減らせます。しかし、治療しても徐々に進む難聴が止まらないことがあります。

メニエール病(内リンパ水腫) | メルクマニュアル

また、減塩治療により、めまい及び聴力改善に効いたという報告がある[2]

減塩治療により,メニエール病患者の84%でめまい発作が消失した.減塩治療後の聴力閾値は,十分な減塩ができた Group 1(Na≦3g/day)が Group2(Na>3g/day)より有意によい結果であり,めまい回数もGroup1がGroup2より減少する傾向を認めた.したがって,減塩治療はメニエール病の治療として有効な治療法の一つであり,1日のナトリウム摂取量が3g以下であれば,聴力改善,めまい発作改善にはより有効であると考えられた.

宮下 武憲, 稲本 隆平, 福田信二郎, 星川 広史, 人見 浩史, 清元 秀泰, 西山 成, 森 望, メニエール病の減塩治療による各種ホルモン濃度変化

また、メニエール病・遅発性内リンパ水腫診療ガイドライン2020年版によれば、下記のような生活指導をせよと記載されている。

メニエール病の発症にストレス,肉体的・精神的過労,睡眠不足が関与することが知られている。また,患者の性格として,神経質,几帳面,勝ち気,完璧主義が多く,行動特性として自己抑制型が多い。このような性格は,職場や家庭における様々な状況が他の人より大きなストレス源となり,メニエール病のめまい発作を誘発しやすいと考えられている。生活指導の基本は,ストレスをできるだけ回避し,生活習慣を改善することによりめまい発作を抑制することにある。ストレスの解消策として,適度な運動が推奨される。有酸素運動によってめまい発作が抑制され,難聴が改善した症例の報告がある。

メニエール病・遅発性内リンパ水腫診療ガイドライン2020年版 | 24.メニエール病の治療

自分自身を振り返ってみると、難聴になるタイミングは決まって朝起きたときであり、その日はだいたい下記のいずれか、もしくは組み合わせの場合に限定される。

  • ストレス
  • 前日のアルコール摂取
  • 睡眠不足

ストレスは、大したものじゃない場合もよくある。月曜の朝、また会社かーと思って起きると耳が聞こえなかったり、前日に喧嘩して寝て起きた朝などがある。アルコールも、すごい飲んだ次の日とかではなく、1-2杯のビールでも起きうる。睡眠不足はかなり大きなファクターの一つであり、睡眠不足なしに難聴になったことはないような気がする。

対策(実践中)

メルクマニュアルにのっとり、まずはカフェインをやめることにした。具体的にコーヒーを飲まないか、デカフェにすることにした。カフェインを断つことによりメニエール病が良くなるというエビデンスは薄いようだが、睡眠不足になる要因を一つは消すことができる。また、睡眠不足にならないよう、メラトニンを飲んで眠ることにする。これにより、朝方起きてもう一度寝られないということをなくす。

上記に加え、減塩を試みている。具体的には、1日のナトリウム摂取量3g以下(食塩に直すと7.5g程度か)が効いたという話を元に、塩を摂る量を減らしている。たとえば納豆にはたれは入れずにそのまま食べ、おかずは半人前だけ食べることにして、汁物は汁を飲まない、パンやうどんなど塩が多いものを食べないこととした。その分ご飯を多めに食べるようにしている。これにより、1日の食塩量をだいたい3g程度に抑えられていると思う。

アルコールはたまに飲んでいるが、飲む時間を早めにし、寝る前にすでに酔いが醒めた状態にしている。酔ったまま寝ることで睡眠不足になることについてはかなり強いエビデンスがある。

今のところ、この減塩+カフェイン抜きを行ってからは難聴にはなっていない。このままうまくいってくれることを願うと同時に、いざというときの為に耳鼻科でやってくれるところを探しておいたほうがよいかもしれない。

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