シアトルから名古屋への引っ越しでやること ~アメリカから日本への帰国~

日紀

3年8か月住んだシアトルともお別れだ。コロナ騒動の中、志半ばで帰ることは残念だが、とりあえず目の前には引っ越しでやることが結構たくさんある。今後のために引っ越しでやったこと、これからやることを書いていこうと思う。アメリカから日本の引っ越しは、アメリカ内での引っ越しや日本国内での引っ越しともまた違う。今後、実際にやってみてどうだったかも書き加えていけたらいい。

郵便物に郵便物の転送を頼む

郵便局(USPS)に転送を頼むと、日本にも郵便物を転送してくれる。通常はオンラインで手続きをすればいいのだが、国外への転送はオンラインは受け付けていませんと書いてある。下記に転記する。

How do I File a COA for an International Address?

You cannot submit a Change of Address online from an international address.
If you are moving to an International address outside of the United States, you will need to fill out the same Change of Address (COA) form PS Form 3575 that is filed for a domestic move at your Local Post Office™.
If you forget to submit a COA prior to moving to an International address, you can write a letter to your old Post Office in the United States and the postal establishment now serving your new international address explaining the situation. Provide direction on how and where you need mail forwarded. The letter should also include as many details asked on the PS Form 3575 (Change of Address Form) as possible.
Please Note: If you are filing a Change of Address from another country to the United States, you will need to contact the foreign country’s postal administration.

そういうわけで郵便局に行ってみた。「Mover’s guideくれと言うといいぞ」という話を聞いたので行ってみたが「はあ?」という対応だったので、今度引っ越すからアドレスを変えたいんだと伝えたら、あーChange of Addressか、ちなみに家族は名字何個ある?と聞かれた。名字の数の分だけ紙が必要らしい。名字はひとつしかないので、1枚だけもらった。帰ってきて今の住所と次の住所を入れてポストに投函した。ちなみに、郵便番号欄とかStateとかは全く日本の住所には対応してないので、マスを無視して書けばよいらしい。

車を売る

トヨタの2009 ヤリスと日産の2015バーサノートの2台を持っていた。これらを売らなければ日本に帰れない。トヨタのヤリスは、妻の友達がCraigslistに出品し、やってきたメキシコ系っぽいなまりの兄ちゃんに売った。日産のバーサノートに関しては、紹介してもらった人(こどものために車を探しているとのこと)に最終的に売った。

ディーラーに売ってもいいのだが、ディーラーに売ると基本的に買いたたかれることが知られている。そのため、個人売買することが第一選択肢となった。ディーラーにも一応オンラインで見積もりを出したが、やはり今回売れた価格よりはかなり安かった。

車を売るための手順はこちら。詳しくはDOLのサイトに詳しく書いてある。

  • 洗車する。洗車はいつも行っていたBrown Bear Car washで。掃除機が1ドルか2ドル、洗車自体はセルフで3ドル程度でできる。洗ってないと汚いのでイメージを上げるためにも洗車は重要じゃないだろうか。
  • タッチアップ塗装。こすっていた傷がいくつかあったので、タッチアップ塗装を自分でした。これが結構失敗して、やらなければよかったと思った。次回塗装をするときには腕を磨いてからやりたい。
  • 買う人探し。Facebook、Craigslist、クラシファイドの掲示板や知り合いなどに車買いたい人がいないかを広告する。年式、マイレージ、整備記録、車の諸機能などを掲載できるとよい。
  • 興味がある人が見つかったら、会って試乗する。今回は10-15分程度高速道路を含めて試乗した。試乗する前には、相手の免許証および保険証を確認し、同乗する(そのままパクられないため)。また、コロナ下であるので、マスクを相手にもしてもらった。この際は車の整備、いままでの状態、大きな事故等についていろいろ聞かれるので、できる範囲で正直に話す。
  • 値段交渉。アメリカにはKBBという自動車の価値見積もりサイトがあり、これがデファクトスタンダードになっているため、この価格をベースに価格交渉をする。傷があるとか、タイヤが古いとか、オイル交換が必要だとかいろいろ言われるので、想定問答集を考えておくとよい。また、最低価格を決めて、それを下回るようであれば、丁寧にお断りするのもよい戦略である。
  • 値段が決まったらお金のやりとり。今回はどちらも現金(札束)でやりとりした。一般的にはキャッシャーズチェックが使われることも多いが、キャッシャーズチェックでも不渡りや偽造の可能性がある。通常の小切手は言わずもがな、使ってはならない(相手の銀行口座にお金が入っていない場合泣き寝入りのため)。ACHやワイヤーなどの銀行振り込みは信用がおけるが、手数料がけっこうかかる。ということで、現金がよい。現金もニセ札リスクがあるので、もらったら即座にATMに振り込めるかを確認するとよい。
  • 書類作成。売渡側として作る書類は少なく、WA州の場合Bill of SaleとTitleのみ。この2つを渡す。Titleは2か所にサインして渡す(サイン箇所は、車の所有権を手放すことに同意しますというところと、この車のマイレージはこの通りですと宣言するところ)。Bill of Saleは、車の情報(Make, Year, Color, VIN#など)、Seller(自分)の情報、Buyerの情報、売却価格などを記入してBuyerに渡す。この売却価格をもとに、Buyerは消費税を払うことになる。
  • 州への売却報告。これはオンラインでできる。車を手放して、家に帰ってからやればよい。費用は$13.25。ちなみに、車を手放すときに本来はライセンスプレートを外したほうがよい(売ったあとにBuyerが交通違反をしたり警察につかまったりしたときに自分がまきこまれるため)が、一方でライセンスプレートがないと警察に止められる。これを防ぐためにはRegistrationのOfficeで車を受け渡せばよい。その場でライセンスプレートを外し、BuyerがOfficeからもらった新しいライセンスプレートをつける。今回は特にこれはやらなかった。

アパートの引き払い

日本のアパートの契約は直接したことがないのでよくわからないが、シアトルで借りた場合、たいてい1年以上の契約期間があるので、途中での契約破棄は違約金が取られる。うちのアパートの場合は2か月分違約金を払うことに契約上なっており、かつ今回は急に引っ越すことになったので自分が引っ越した次の月の分の家賃も取られることになった。だいたい100万くらいかかる。

アパート側と契約を交わした後は、鍵の受け渡しや退去時の検査(汚れや傷など)などの日程を詰める。引っ越し時のエレベータ確保もやっておく必要がある。急だったのでこれらの調整が間に合わず、引っ越しのためのエレベータ確保もできなかったし、退去時の検査の立ち合いもできなかった。まだ原状復帰費用が請求されていないが、いくらになるかビクビクしている。

これらの作業は基本的にオンラインで完了できた。

銀行や証券会社などをクローズ

銀行によってはW-8BENを提出することでアメリカ国外でも口座維持を認めてくれるが、国外住所は認められないとするところも多い。必要に応じて銀行口座や証券会社をクローズする。国外を認めてくれるかどうかは銀行や証券会社によるので、直接電話やチャットやtwitterなどで聞いてみるとよい。自分の場合の対応は下記のとおり。

  • Union Bank: 銀行口座。維持する。ただしW-8BENの提出が必要。
  • Charles Schwab: ETFを買っていた証券会社。維持する。これも同様にW-8BENの提出が必要である。W-9BENだけ提出すればいいかと思いきや、W-8BENを提出して何回かやりとりしていたら、International Accountにするための申し込みが必要だと言われた。International Accountを開設するには$25000のDepositが必要らしく、このお金も含めて面倒だ。
  • Marcus: Goldman Sachsが提供するHigh-yield Savings(高利回り普通口座)。これは聞いてみたら住所が米国内にないとダメらしい。なので解約。ちなみに、こういう交渉で電話しか選択肢がなさそうに見えても、twitterで聞いてみると何とかしてくれる場合が多い。確定申告用に1099-INTなどをどうやって受け取るかも教えてもらうとよい。

保険の解約

自動車保険、家財保険、アンブレラ保険の3点セットを買っていたが、これらを解約する。1年契約でお金を払っているので、払い戻しが結構来る。曲者だったのは、払い戻しが小切手ではなくクレジットカードに返金だったこと。クレジットカードのバランスが+になったので、クレジットカードを使えばいいのだがそんなに使う予定もない。クレジットカード会社と交渉し、銀行にACHでバランスを戻してもらうことになった。ちなみに、返金が多かったためにクレジットカードのポイントはマイナスになった。ポイントのマイナスは許されるのだろうか?まだ謎である。

各種返金受取

  • こどもの習い事なども途中解約。
  • また、シアトルにはGood To Go!という有料道路の支払いシステム(日本のETCみたいなもの)にチャージがあったので、それも交渉してみたら返金してくれることになった。銀行口座にお金が戻ってきた。ちなみに、クローズしたらアカウントにログインできなくなったので注意。ちなみに、このGood To Go!は車を売る前にタグを剥がしておく必要がある。ちなみに、このGood To Go!は他の人に口座を引き渡すということができない。それができれば便利なのだけど、できないので車から引き剥がして再度新しく車を買った人がシールを貼るという面倒な作業が発生する。
  • 電力会社はPSE (Puget Sound Energy)を契約していた。これは途中解約して残りを払えばいいだけかと思いきや、アメリカ国内で引っ越して新しい名前で契約したため、信用がない人としてDepositを取られていた。このDepositの返金があったので、日本に引っ越してから連絡し、日本の住所まで小切手を送ってもらうことで解決した。
  • こども小学校の給食費が$70程度、給食費のアカウントに残っていた。これも忘れていたが連絡してら返金してくれそうである。日本に小切手を送ってくれるかは謎だが、問い合わせ中。

引っ越し作業

今回は引っ越し屋が航空便と船便にわけてものを運んでくれる。pros/consがある。

  • 航空便:値段が高いのですこししか運べない。しかし1週間くらいで届く。なので日本での初期の生活立ち上げに絶対に必要なものだけ運ぶ。我が家は布団、食器、調理器具(鍋や包丁など)、衣類などを送った。デメリットのひとつは、荷物の扱いが荒いこと。投げて運ぶのでモノが壊れる。デメリットのもうひとつは、制限が多いこと。たとえば新居ですぐ掃除したいなと思ってルンバを送ろうとしても、充電電池がダメである。印象的には一般の飛行機の預け入れ荷物より厳しいレベルで制限が多い。
  • 船便:値段が安いのでいっぱい運べる。しかし西海岸からで2-3か月かかる。そのため、基本はすぐにはいらないものなどを送る。航空便よりは扱いがいいらしいので、壊れるリスクは少ないかもしれない。しかし忘れたころに届くので、届いた時点ですでに同じようなものを買っているということがある。
  • 船は沈没するリスク、飛行機は落ちるリスクがある。なので、荷物ひとつひとつに保険をかける。けっこう日米間の移動でダメになるものがあるので、ある程度まじめに保険額を考えたほうがよい。

引っ越しで運べないものが結構多いので、3週間前くらいから冷蔵庫やパントリーなどに貯めていた食料をひたすら消費した。だいぶ消費できたと思う。また、植物も運べないので、子どもが幼稚園のときに父の日プレゼントでくれた観葉植物なども自分でゴミに捨てに行った。残念だが仕方がない。

借りていたものを返す

意外とやっかいだったのがこれ。我が家は3種類の図書館を利用していた。

  • King County Library System (KCLS): 日本語で言うとキング郡図書館群みたいな感じである。最近、Northwest Passage(北西航路)に興味があり関連の本を結構借りていた(下記)のだが、コロナで図書館が閉鎖となってしまい、返せなくなってしまった。最終的には妻の友達に託して、図書館が再開したら返してもらうことにした。日本の図書館と違い、期限をすぎると罰金が発生するので厄介である。下記が借りていたNorthwest Passage関係の本。日本でまた借りて読みたい。
  • 補習校の図書館:シアトル日本語補習校はコロナで閉まってしまったので、これも返すのに個別対応を要した。
  • ともしび文庫:ボランティアが運営している日本語書籍の図書館。土曜日だけやっているが、これもコロナで閉まっていたので個別対応を要した。

お土産を買う

これも多くの店が閉まっていたので、主にネットで買った。本来であればベルビュースクエアが便利なのだが、ベルビュースクエアは暴徒とコロナのダブル攻撃により閉まっている。(追記)7月になって復活したらしい。

いらないものを売る

本来はやればよかったがやれなかった。いろいろ家具を捨てたので、本来ちゃんと売っていればもっとお金になったかなという印象である。シャワーヘッドだけは引っ越し屋さんに1ドルで売った。

公共サービスの解約

  • 電気:pseに申し込む。これはWebで完結するので簡単だった。
  • インターネット: WaveGというのを使っていたが、これもインターネットで解約した。料金は半分くらい返ってきたし、違約金も一切なかったのでよかった。
  • 携帯電話:t-mobileのプリペイドプランを使っていた。t-mobileのカスタマーサービスによると、プリペイドの場合Autopayを停止すると自動的にプランが解約されるとのこと。

クレジットカードの解約

アメリカではクレジットカードを作ると得なのでいっぱい作っていたが、日本に帰るとあまり使わなくなる(使ってもよいが、為替手数料のあるものは使いたくないし、そもそも日本のクレジットカードのほうが得であることが多いため)。なので、いらないものについては解約する。今後旅行や出張、仕事などでアメリカに来た時のために使うものを数点残しておいてもいいかもしれない。なぜなら、アメリカでクレジットカードを作るのも最初は信用がなく大変なので、はじめからカードを持っているとだいぶ有利。

帰国届の提出

日本領事館にWebで提出していた在留届を引き下げる。これで、領事館から来ているメールなどのサービスが停止する。あと在外選挙もできなくなるはず。

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