アメリカで働いていたときは給料をアメリカドル(USD)でもらっていた。そのアメリカドルは銀行のChecking Accountに入っているのと、証券会社でETFで運用している。これはこれでいいのだが下記の課題があった。
- お金を日本に戻したいときにどうすればよいか分からない
- 三菱UFJ銀行がユニオンバンクをUS Bankに売ってしまったため、日本の顧客へのサービスを終了または縮小する可能性がある
これらの課題を解決するため、日米間の送金を試したいなと思っていた。ただし、普通の銀行間送金は一般的に手数料がかなり高く、手続きがとにかく面倒で、少しミスると成立しないというハラハラ感がある。手数料はプレスティアとか、ソニー銀行とか、三菱UFJとかで工夫できる面はある。一方で、Wise (旧TransferWise)というサービスが知られている。p2pの仕組みを利用した送金サービスで、手続きの簡単さ、手数料の明解さが売りで、6年前に日本からアメリカに送金するのに使った。これを使ったらもしかしてアメリカから日本にも送金できるかなと思って試した結果をメモする。
基礎知識
前提知識は下記のとおり。日本の銀行の振り込みという仕組みは誰でも知っているので省く。
- アメリカの銀行と証券会社間の送金:ACHという仕組みを使えばやや時間がかかることがあるが基本的に無料。Wireというのを使うと手数料がかかるので使ったことがない。日本の銀行間の振り込みは相手の銀行名、支店名、口座の種類、口座番号の4点がわかっていれば振り込めるが、アメリカのACHは相手の銀行のRouting Number(銀行コードみたいなもの)とAccount Number(口座番号)、口座の種類(CheckingかSaving)がわかれば振り込める。日本との違いは支店名という概念がない点であり、言われてみれば支店なんて現代においてあまり意味のない概念である。
- アメリカの銀行と日本の銀行の間の送金:これが結構面倒。手続きが多いし、途中にも他の銀行が挟まったりする可能性があり、手数料の全体像が把握しにくい。送金側と受ける側両方に手数料が発生し、同時に為替手数料がかかる。書類仕事を少し間違うと組み戻しになり、手数料だけ持っていかれる。手数料が安いところもあるが、最適な銀行を探すのも少し大変。
- Wiseを使ったアメリカの銀行と日本の銀行の間の送金:Wiseというサービスを使うと日本の銀行にある日本円をアメリカの銀行にあるアメリカドルに変えたり、その逆ができる。手続きは簡単で手数料は明解。デメリットあまりないが、多額の送金を行う際には最適化された銀行間取引のほうが手数料が安くなる場合がありうる。
アメリカにいたときにもらった給料はUnion Bankに入り、お金を持っていてもインフレで目減りしていくためCharles Schwab証券に移してETFを買っていた。Union BankとCharles Schwab証券の間は、Charles Schwab証券側からTransferというのをすると無料で入金・出金ができる。
試したこと
ユニオンバンクを使わずにCharles Schwab証券にあるお金を日本の銀行の日本円にしたり(ユニオンバンクサービス対策)、アメリカにあるお金を日本の銀行の日本円に送金したり(面倒な銀行間送金を使わずに)をやりたかった。いますぐ日本で何かを買いたいというわけではないが、何か大きな事故とか病気とかにならないとも限らず、そういうときのためにさっとお金を移動できる手段を確保しておきたかった。
Wiseを使ったアメリカドルから日本円への両替
日本円からアメリカドルはやったことがあった(6年前)だが、アメリカドルから日本円はやったことがなかった。次の手順で実施。
- Wiseを使って、Union Bankと連携。WiseのサイトからUnion Bankにログインし、許可を与える。
- $20をUnion Bankから入金。$0.03の手数料が取られる。
- Wiseのアメリカドル口座に$20が入金されるので、それを日本円に両替。手数料が$0.10取られる。
- 日本円のWiseの口座に2950円が貯まる。
これは思ったよりだいぶ簡単にできて拍子抜けした。これでいざ資金を引き揚げたいときにすぐに行動に移せるようになった。Union Bankにログインが最初できなかったが、土日にやろうとするとダメみたいだ。あとやることとしては下記。
- Wiseの日本円口座から日本の銀行に日本円を移す。手数料が200円かかるらしくどうしようかなという感じ。
Charles Schwab証券とWiseの連携
WiseとUnion Bankの間は連携できたので、Charles Schwab証券との連携も試してみる。手順は下記のとおり。
- Charles Schwab証券のWebsiteでログインし、Transferを選択
- External Accountsを選択し、Addを押して指示に従い、WiseのRouting NumberやAccount Numberを入れる。
- Charles Schwab証券がWiseの口座に少額のお金を送金したり出金したりする。それをじっと待つ。なぜだかわからないがこの処理に数時間かかった。
- Wise側で少額のお金が振り込まれたり出て行ったりするのが分かったら、Charles Schwab証券側でそのお金の額を入力する。このお金の額をパスワード的に使うというたまにある仕組みである。
- 連携が完了する。試しにいくらかCharles Schwab証券からWiseに送金してみる。Wiseからこの処理を行うと手数料が取られるが、Charles Schwab証券側から行うと無料。
これも時間は多少かかったができることがわかった。これで、Union Bankが劣化したとしてもWiseの口座とCharles Schwab証券があればお金のやり取りには困らなさそうだ。
まとめ
お金の日米間の移動が簡単にできることがわかった。技術の進歩はすごい。6年前にWiseを使ったときもすでに便利だったが、いまのWise内にお金を貯めておける銀行みたいな仕組みは素晴らしい。ここに貯まったお金はデビットカードを作れば直接消費できるようだが、デビットカードを作るのに1200円かかるのが曲者である。
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