アメリカで歯の根管治療をした話

日紀

アメリカに再度引っ越してきて半年くらい経過して、そろそろ歯の定期健診に行かないといけないなと思い、重い腰を上げた。アメリカで医者に行くと医療用語がわからないしいろいろな標準的なプロセスが違ったり、面倒なのでなるべく行きたくないのだが、前にアメリカに住んでたときに2年くらい歯医者に行かず、ついに詰め物が取れてから歯医者にいったら、なんでこんなに長い間歯医者にいかなったんだと怒られたことがあった。歯や歯ぐきの調子が結構悪くなっていたらしい。そこで今回はその反省を生かし、ちゃんと定期健診に行った。

歯医者は近所の歩いて行けるところが便利だなと思って選んだ。家から一番近いところはインドの大学を出たインド人が経営している歯医者だったのだがインド人の英語のリスニングに自信がなかったので2番目に近いところにした。

初回はまずレントゲンを撮って、歯ぐきのポケットの深さを測って、歯石を取るとかのクリーニングしてもらって、そのあと医者の診断。問題が2つあって、1つは上の前歯の裏を若干埋める (filling) 必要があること。もう一つは下の前歯の1本の神経が死んでるということだった。その前歯は虫歯でも全然なくていたって健康なのだが、レントゲンを撮ったら根本部分が黒くなっておりこれはたぶん昔ぶつけたとかで死んだパターンだと医者は言っていた。そこで、根幹治療専門医 (Endodontics) に行ってこいと紹介され、別の歯医者の予約をいれた。そこは家から車で25分くらいかかるところだった。

初回の検査

根幹治療は今までの人生で2回経験があったので、それほどびっくりはしなかったが面倒だなという印象だった。1回目は大学生のときに虫歯がひどくなって神経を取ることになり、治療した。2回目はその5年後くらいに再度その部分が悪くなり、もう一度同じ歯に対して根幹治療をした。

根幹治療について専門的な知識は全然ないが、一方でものすごく時間がかかることは知っていた。小さい針のようなのこぎりのような器材で歯の奥のほうをゴリゴリ掃除するプロセスを何回も何回も繰り返し、10回くらい歯医者に通うとようやく終わるイメージである。なので大変だなという印象だ。そんなことを思いながらまずは、レントゲンが間違って実は大丈夫でしたとなるといいなと思いながら専門医のところへ赴いた。

まずは状態を確認するために歯のCTスキャンを受けた。結果を3D画像で医者に見せてもらった。医者が詳しく説明してくれたが、やはりどう見ても他の歯とは異なっており、どのくらい神経が死んでいるかが3Dで見れてめちゃくちゃわかりやすかった。日本よりだいぶ歯医者の技術が進んでいる感じがした。そのあと、冷たくした綿みたいなのを歯につけて検査し、やはり神経が死んでいる歯はあまり感覚がないことがわかった。次の週に根幹治療をする予約を取った。

歯医者にどのくらい時間がかかるのか聞いたところ、1時間くらいで一発で終わるという。長いと2時間くらいかかるかもと言っていた。日本では数週間にわたって10回くらい通う必要があってのでにわかには信じがたいが、アメリカでは一発で終えられるらしい。

根幹治療本番

2回目に赴いたときは、医者が手順を簡単に説明したのち、治療がはじまった。前歯の裏側から小さな穴を開け、根っこまで掘ってから根幹治療をするとのこと。なんとなく覚えている手順は次のとおり。

  1. 麻酔をする。2つ違う麻酔を左の奥のほうに打った。麻酔が効くまでしばらく待った。
  2. ラバーダムをつける。薄いゴム幕みたいなもので治療する歯とそれ以外を隔離する。これにより感染症を予防できるようだ。
  3. 穴を開ける。これは普通に日本でもおなじみのドリルみたいなやつで穴をあけていく。
  4. 開いた穴を使って、根幹治療でおなじみ小さな針ののこぎりみたいなやつでゴリゴリやる。
  5. 最後にGentleWave (ジェントル・ウェイブ) という機械で根っこを洗う。このプロセスははじめて体験したが5分くらい洗っている感じ、思ったより長かった。
  6. 開けた穴に何かを入れて、仮の詰め物をし、確認のためのレントゲンを撮影し、根っこの治療が完了したことを確認して終了。

すべての工程で2時間くらいだった。日本で根幹治療を受けるのに比べて一発で終わるのがめちゃくちゃ楽であり、痛みも麻酔を打ったときしかなかった。口が麻酔が効いていてまだぶよぶよするなと思いながら車を運転して家に帰った。

医者の説明では、麻酔が切れた後数日間は痛みがある可能性があるとのことだったが、帰って麻酔が切れてからも全然痛くならず快適だった。2時間口をあけっぱなしだったので逆に顎が多少痛かったがそれも寝たら治った。残りは別の日に元の歯医者にいって埋めてもらって終了。

お値段

アメリカの医者といえばお金がかかることで有名である。歯医者の保険を買っていないので、今回の治療はすべてOut of pocket (自費診療)。今回の一連の治療でいくらかかったかをここにメモする。日本円換算は当日のドル円レートを用いて計算した。

  • 初回検査および歯石除去: 447ドル (66,090円)
  • CTスキャンおよび簡単な検査:347.8ドル (51,353円)
  • 根幹治療: 1,364.2ドル (203,329円)
  • 詰め物2か所: 432ドル (64,646円)

ということで合計2591ドル (385,418円) だった。このうち根幹治療分は2000ドル弱くらい。日本では根幹治療はめちゃくちゃ安く、保険適用後の支払い額が毎回100円とか200円とかしかかからないのに比べるとめちゃくちゃ高いが、1日で最新の治療ができると考えると悪くないのかもしれない。

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